あの通学路では今日も、
得体の知れない一匹の真黒な怪物が、
何も言わず動くことなく蜘蛛の巣を貼り付けて、
じりじりと両手を振り上げながら、
3つの顔を揃えて立っていて、
既に見慣れたはずのどこか剽軽としたその存在に、
だけどいまだに怖れを感じる、
纏わりつく厭な向かい風、
湿度の高い空間を藻掻くように歩く、
疑問を許さない現実と不可能な現状を考える、
傷痕すら残さず傷付ける、歌う声を聞きながら、
『芸術の退廃』に、耽美とデカダンスの思想を連想して、
釣り合わない時間の流れに軽い混乱を招く、
無駄な連想の機会と時間を得たことで、
自由気儘に流れる思考に歯止めをかける理由を見失う、
頭の中の混沌から引き摺り出してくる、
意味のない言葉の羅列がまるでいかにも『アサッテ』的で、
それに伴う感情のない思考の連鎖は取り留めもなく私の日常を侵しながら、
独りの時間を充実した無意味な思考で満たしていく、
丸いスピーカーで耳を塞ぎ外界を排するこの時が、
今のところの一番の至福、
赤い扉の冷気を出て、
そこに帰れば重くなる、
帰りたくない帰宅途中
PR